いのうただたか の ちずつくり

20.京都をきじゅんに

 地球の上の位置(いち)は、経度と緯度(けいど と いど)という値であらわします。
 今、その経度のゼロの地点は、イギリスの旧グリニッジ天文台を通るところときめられています。そして、ここから東へ(東経)180度、西へ(西経)180度とします。
 ちなみに、緯度は赤道をゼロとして、北極を北緯90度、南極を南緯90度とします。
 
 経度のゼロの地点は、今ほど自由に外国へ行き来できない時代なら、どこをもとにしてもいいものでしたから、むかしは国によってことなる場所を使っていました。
 そのときヨーロッパの地図の多くは、大西洋にうかぶカナリア島を通る地点となっていました。これは、この島がそのころの世界に知られた西のはしであったから、ここを起点(きてん)としたのです。
 
 「伊能図」では、京都をとおる位置に「中度(ちゅうど)」と記入され、ここが経度ゼロの地点にあたります。この位置は、そのむかしからつづく天文総本家土御門家(てんもん そうほんけ つちみかどけ:こよみのことを調べるやくしょ)があったところです。  
 
 各地点の緯度は、北極星などの恒星を観測することで知ることができます。そのことを知っていた、伊能図の緯度とその方向の距離はおおむね正しいものです。
 一方、経度を知るには正確な小型時計が必要でした。正確な小型時計が手に入れられていなかった忠敬は、経度の測量はできていませんから、伊能図の経度とその方向の距離には誤差が多く含まれています。
 ですから、「伊能図」は全般にごく正確にできていますが、現在の地図と比較すると経度(横)方向にズレがあります。

 


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