5.もっと知識を高める ― もっと伊能忠敬に近づく − 

 こんどこそ、しっかりした地図つくりを始めますが、第3ステップでした地図をつくる方法は、方向あるいは角度を測っていませんから、直角でできる多角形にしか応用できません。
 さまざまな角度をもつ多角形の場合は、「第2ステップ」の方法(放射法)を使ってすると可能ですが、はたしてこの方法がベストなのでしょうか。第2ステップ、第3ステップでわかった疑問点について考えてみます。それは、以下のようなことでした。

  1. 第2ステップでは、距離と方向は測っても角度を測っていません。第3ステップの方法では(直角だとして)方向や角を測っていません。どのようにしたら角度を測ることができるだろうか。
  2. 第3ステップのように歩測に誤り、すなわち距離の測量に誤りがあっても、地図は描けますが正しい形になりません。距離測量の誤差を減らすにはどうしたらいいのだろう。
  3. また、第2ステップのような方法では、各方向や距離は他の地点との関係なく測量していることもあって、ある一点の測量に大きな誤りがあっても確認できません。それでも、それなりの地図は描けてしまいます。大きな誤りを発見する、全体の誤差を少なくするにはどうしたらいいだろう。
  4. また、描こうとする多角形の区域周辺に建物などがあって、基点からある地点が見えない時はどのような方法にしたらいいだろう。

 ここまでの疑問(ぎもん)にもあったように、測量をする、地図をつくることで大切なことは、方法を工夫していい測量や地図作りをすることです。測量に誤差はつきものですが、大きな誤差を発見し、誤差を少なくし、そして第3ステップにあったように、ゆるされる範囲の誤差であれば、これを正しく配分することが大切です。
 さて、こうした問題点を解決するヒントは、伊能忠敬の測量を知ることわかります。
 
 伊能忠敬は、図のような方法(導線法)で、距離は間縄(けんなわ)や鉄鎖(てっさ)とよばれるものさしや歩測で、方向は方位磁石で測量しました。さらに遠くの山の位置を知るため、あるいは導線法の誤差を点検するために交会法という方法を使用しました。
 その忠敬もした図のような導線法と交会法を使用すれば、@方位磁石で北からの角度(aなど)を測ることができますから、どのような形(の多角形)でも測量できます。A歩測を何度か繰り返すことで距離測量の間違いを点検できます。BA点で角aをB点で南からの角a’を測ることで角測量の間違いを点検できます。さらに測量全体(路線)を閉じた多角形にすることで距離と角度の間違いや全体の誤差を点検できます。Cもちろん、導線法なら描こうとする多角形の区域中に建物や山などがあっても、外回りすればいいだけですから測量できます。

導線法と交会法
導線法と交会法

 C、D、E点の位置がわかれば、各点で北から山方向(P)の角度を測量することで、山に行かなくてもその位置がわかります(交会法)。

たまごっ地図 たまごっ地図 たまごっ地図 たまごっ地図
伊能忠敬が使用した機器

 ・「わんからしん」:方位磁石に杖(つえ)をつけて、方位磁石がつねに水平になる仕組みと、方向を見通す目じるしを用意したもの。
 ・梵天(ぼんてん):目標にするポール
 ・間縄と鉄鎖(けんなわ と てっさ):なわやくさりにめもりになるしるしをつけたものさし。

たまごっ地図
多角形にした導線法

 測量の路線をAから始まりAで終わるような多角形にします。そうすれば、誤差があれば多角形が閉じませんから、全体の誤差の量が点検できます。ゆるされる量なら第3ステップに関連したホームページにあったような方法で誤差を配分します。

 ここでの疑問点の例を上げておきます。
  ・忠敬は、測量の結果をどのように整理したのだろう。
  ・そして、いつどこで地図にしたのだろう。  

 

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