第7話 成田山に奉納された青銅製地球儀
前回の話題は、傘式地球儀でしたが、
今回は青銅製の地球儀の話です。
青銅製の地球儀だけなら、
特に珍しくないのではありませんか。
以前に訪れた横浜開港資料館には、
19世紀中ごろのようすを表現した、
とても大きな地球儀がありました。
ほー、これはまいったな、
あすかさんも、しだいに知識が豊富になってきましたね。
では、歴史的な地球儀を数多く所蔵している博物館を知っていますか。
地図と測量の科学館とか?
国立科学博物館とか?
それがですね、天理大学付属天理図書館です。
欧州製の地球儀や天球儀などを約50個も所蔵しています。
あれ、天球儀って、どのようなものですか?
天球儀はね、紙製や銅製の球面に天空の星を描いたものです。
ちなみに、渾天儀というものもあって、
ごく一般的には、天体の状態や運行を示す模型といったもので、
木製などで出来ていてね、
地平や赤道、黄道などを環で表現しています。
では、世界最古の地球儀はどこにあるのですか。
現存する世界最古の地球儀は、
ドイツのニュルンベルグ博物館にある
1492年にべハイムが製作したもの
日本人が製作した現存する最古の地球儀は、
渋川春海が製作し元禄 3(1690)に伊勢神宮に奉納したもの。
あれ、どこかで聞いた名前ですよ。
沖方丁(うぶかたとう)の「天地明察」の主人公でした。
碁打ちで、数学者だった人。小説、とてもおもしろかったですよ。
それにしても、青銅製地球儀の話はどうなりました。
ほー、読みましたか。いい本でしたね。
それはそうと、青銅製地球儀でしたね。
成田山新勝寺(千葉県)は、
初詣や有名人による節分会などで有名ですが、
その額堂と呼ばれるところには、青銅製地球儀が鎮座しています。
成田山なら、何度か訪れましたが、気がつきませんでした。
それで、何かありますか?
この地球儀は、
明治40年(1907)に、
「世界」という名前の東京上野の牛肉店を経営する夫婦が、
日露戦争の戦勝記念に奉納したもの。
直径 110cmほどの青銅製でね、
過去には、その脇に説明書きがあって、
「日本帝国を銀色にしたのは、目立つように見せるためであり、
これによって見物人がこの国のことを思い、
将来の発展と輝かしい国つくりを心がけてほしい」と、
あったといいますよ。
かつては光輝いていた日本の部分は磨耗して、
今、その面影はありません。
信心深く、そして夫婦睦まじさが感じられる、
牛肉店のその後どうなったのでしょうかね。
心配しまーす!
そうだ、私も地球儀奉納しようかな。
誰と、何を願って、どこへ?
結婚して、会社を設立して、その繁栄を願って、伊勢神宮に!
ウン100年経っても無理だね!!
失礼ね、プン! プン!
次へ