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あすか けいた

第6話 傘式地球儀を作った人
   
きのう庭で、小さなかたつむりをみつけました。
    もうすぐ梅雨に入るって感じがしてきました。
へー、 でんでん虫ですか、めずらしいな。
    もう、何年も見ていない気がします。  
かたつむりのことを、でんでん虫ともいうのですか?
へー、驚くな。「でんでん虫、むし、かたつむり」っていうでしょ。
    それじゃ、「コウモリ傘」も知らないな。
知りませんね。
油紙と竹の骨でできているものを「和傘」、
    布と金属で出来ているものを「洋傘」という。
    昔は、洋傘といっても黒色だけだったから、
    コウモリに似ているので、「コウモリ傘」と呼んだ。
そうですか!
    ということは、洋傘は全部コウモリ傘ですね。
そういうことです。
    ところで、あすかさんの家には、地球儀ありますか。
突然ですね。
    たしか、小学生の時に買ってもらったものが、実家にあります。
コウモリ傘につながります。
    子どものいる家庭なら、一つくらいある地球儀ですが、
    本棚の上などでほこりをかぶることが多く、
    収納にも困り、少々やっかい者あつかいされていますよね。
    このことを解決した地球儀を製作した人が江戸時代にいました。
風船の地球儀とか?
いえ、風船にも似ていますが、傘式地球儀です。
傘式ということは、折り畳み式ですか?
そうです。
    コウモリ傘ではありませんが、図のようなもので、
    12本の骨と長さが 40センチメートルほどの柄を持つもので、
    傘を開くように片方を押し上げると
    風船状に地図が開く仕掛けになっています。
    逆に閉じると小箱に収納できるすぐれものです。
    常陸国土浦の人沼尻墨僊(ぬまじり ぼくせん 1775-1856)が
    安政 2年(1855)ごろに発明しました。
面白そうですね。
それもね、彼が81歳の時の作品なんですよ。
へー、驚きですね。
    身近に見たいですね。
土浦市立博物館にありますよ。
    さらに特徴的なのは、
    計算された傾き(36度)を持つ支持台に載せられた地球儀からは、
    日本が真上に配置されるようになっています。
それは考えましたね!
ちなみに、この地球儀の本初子午線(経度零度とした子午線)は、
    大西洋のカナリア諸島にあるそうです。
    そして、この傘式地球儀は、同好の士に頒布されたほか、
    江戸や大阪にも、諸侯にも届けられ、好評であったといいますよ。
それはすごいですね。
    仕掛けは傘ですが、見た目は風船ですね。
    どうしても土浦に行って見たくなりました。

傘式地球儀(土浦市博物館パンフレットから)

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