地図にかかれた地名から想像して作ったお話をおとどけします。
茨城県つくば市弥平太(やへいた)、五斗蒔(ごとまき)、鬼が窪(おにがくぼ)1/25,000地形図水戸15号の2「上郷」
そのむかし、つくば山が、すぐ近くに見える、ある村の南のはずれに、いっけん家があっての。
そこに頭のてっぺんが、ちょっとだけもりあがった、元気な子どもがすんでいての、名まえを、弥平太(やへいた)といったんじゃ。
弥平太には、おっとうも、おっかあもいなかった。
弥平太が、いつからこの村の、この小さな家に、すむようになったのかは、村人のだーれもが知らないことだった。
弥平太は、同じ年ごろの子どもたちと遊ぶこともなく、村の仕事の手つだいをしては、おれいにたべものや、きがえをもらって、静かにくらしていたんじゃと。
さて、あるときから、この地方は天気のわるい日が多くなってな、野菜(やさい)や米のしゅうかくが、少なくなったんだと。
そして、あらそいごとも多くなったそうな。
それを、どこかで見ていたかのように、夜になると鬼(おに)が、村にくるようになってな。鬼たちは大声を出しては、村人をおどろかして、食べ物を持ちさるようになったんだと。
その鬼たちは、つくば山のおく深くにある、どうくつからやってきたんじゃと。